二重派遣とは
二重派遣とは、派遣元A社が派遣労働者を派遣先B社に派遣し、さらにB社が派遣労働者を派遣先C社に派遣することです。派遣先企業が別の会社に派遣労働者を派遣することを二重派遣といいます。もし、C社が派遣先D社に派遣をしたり、さらに派遣先E社に派遣することを多重派遣といいます。
二重派遣は法律違反
二重派遣は次の三つの法律に違反しています。
・労働者派遣法2条1項違反
・職業安定法第44条違反
・労働基準法第6条違反
労働者派遣法2条1項違反については、二重派遣が自己の雇用しない労働者を派遣することに該当し違反になります。職業安定法第44条は、労働者供給事業の禁止に該当します。労働者供給事業とは、雇用関係のない労働者を他人の指揮命令下で働かせ利益を得ることです。供給元、供給先ともに罰則規定があります。労働基準法第6条は、中間搾取に該当します。先の例で派遣元A社が派遣先B社に派遣した派遣労働者が、C社の仕事をしていたとします。C社の仕事をB社が「請負契約」をしていた場合、これは違法にはなりません。しかし、B社の人間ではなく、C社の人間が派遣労働者に指示をしていた場合は違法になります。
二重派遣の搾取
二重派遣は不正に搾取される傾向にあります。派遣元A社が派遣労働者を派遣先B社に10万円で派遣したとします。さらにB社が派遣労働者を派遣先C社に15万円で派遣したとします。その場合、B社はマージンとして5万円を得ることになります。派遣元A社が手数料として2万円引いていたとしましょう。派遣労働者はこの場合、8万円の収入になります。しかし、派遣元A社が派遣先C社に派遣をしていれば、この派遣労働者は手数料2万円を差し引いた残りの13万円の収入を得ることができたはずです。ITエンジニアは多くの企業が必要としている人材のためこのような二重派遣が横行しているのが実情です。
労務災害時の責任
先のケースで、例えば派遣先C社で災害が発生し派遣労働者が怪我をした場合、その責任をどこが負うかで派遣先B社とC社がお互いに責任を押し付け合い、なかなか解決しない場合があります。このように二重派遣、もしくは多重派遣は、派遣労働者に不利益になることが起こりえます。派遣労働者が二重派遣されていることに気付いたら、労働基準監督署もしくは社会保険事務所に相談するようにしましょう。