請負契約と委任契約の特徴
まず、民法で定められている請負契約とは、端的にいえば「仕事の完成」を目的にされています。そして、この請負契約の特徴としては、「仕事の完成」という結果や成果に対しての責任を負うというところです。つまり、仕事を請け負った側である受注者が、結果に対する責任を問われる、ということです。もしも完成した仕事にミスが生じた場合は、受注者側はミスを正したり、場合によっては損害の賠償をしなくてはなりません。
一方、委任契約とはどのようなものなのでしょうか?これは、「一定の行為」の遂行を目的にされています。そして、この委任契約の特徴としては、「法律行為」や「法律行為でない事務」といった一定の行為に対して責任を負うところです。例えば、委任契約には受注者側の地位や職業などに応じて、発注者側から客観的に期待、要求されるレベルの責任を果たさなければならない義務があります。業務委託契約などの契約では、その業界のプロとして求められるレベルに対する責任があるということです。
責任の質が違う請負契約と委任契約
業務においてどのような責任を問われるのか、これが請負契約と委任契約の大きな違いです。前述のように、請負契約は仕事の結果、成果に対しての責任を問われます。行なった仕事の結果にミスや欠陥が発覚すればその責任を問われ、発注者側から修繕費や損害賠償を求められることになってしまいます。
一方、委任契約は行為という仕事の過程に責任を問われます。仕事という行為を行なうにあたり、善良な管理者としての注意義務が果たされているかどうかといった責任を問われます。そのため、この注意義務さえ果たしていれば、その仕事の結果として発注者側の希望に沿わないものになっていたとしても責任は問われないのです。ただし、これは一般的な委任契約の場合であり、実際には契約書によって各箇所を変更することは可能となっています。
このように、請負契約と委任契約とでは責任の質が違います。あくまで一般的にではありますが、請負契約よりも委任契約の方が責任は軽いといえるでしょう。また、請負なのか委任なのかの区別が明確でないような契約内容であれば、トラブルになった場合も考慮に入れてその案件が請負なのか委任なのかを契約書にはっきり明記しておくことも必要です。